高橋忠三郎(スターブリッジガラス工房)| ガラス

日本のガラス造形のパイオニアが八戸を拠点に創り上げる作品群。
透明なガラスの向こう側に、技術と感性を突き抜ける広大なイメージが広がります。

何とお呼びすればよろしいでしょう?

何とでも良いんですよ(笑)強いて言えば、ガラス造形家でしょうか?

僕はただ、ガラスに惹かれているんです。ガラス業界は権威ばった雰囲気もありませんし、若い人も自由にやっています。若い時に作風のようなものも出来ましたが、それも何度か変わりました。

ガラスの美しさを体験してもらうためにスタジオを立てて、自分でデザインして自分で作って。技術的なことも、人間性も、年を取りながら迷いながら熟成していくものなのでしょう。だからこそ、田舎でゆっくりと創作に取り組んでいます。

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どういった経緯でガラス造形家に?

はじめは工場に入ってデザインしていました。しかし、アメリカから世界へと「スタジオガラス・ムーブメント」が広がった事が、私を動かしました。

それまでは工場のような組織の中でデザインしていたガラス造形家たちが、それぞれに小さな炉を導入して、自分たちで作品をつくりはじめたんですね。工場は量産がほとんどですが、僕は個性のあるものが作りたかった。

そこで、私が知る限りでは日本初なのですが、イギリスのスターブリッジ美術大学でガラス造形を学ぶために留学したんです。最新のガラス造形について学んで日本に帰ってきた後、スタジオを立ち上げました。

  • 高橋忠三郎のガラス作品
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作品には、どのような想いを込められていますか?

時代性・メッセージ性のあるものを作る時もありますし、シンプルに美しさを求める時もあります。しかし結局は、人間や宇宙といった普遍的なものに戻っていくように思うんです。

例えば以前、平板の人型の作品を作りました。宮沢賢治の詩をびっしりと書いたものです。作っているうちは現代の人を作っているつもりでしたが、ところが人に「これは縄文人だ」と指摘され、なるほどと思いました。

縄文人だって、青銅器などを作っていましたから、科学的なことを直感で理解していました。それは現代人だって同じことです。直感的・感覚的なことと、科学的・技術的なこと。僕達人間は時代を超えてそれらの中間をただよっているように感じられますし、もっと言えば美術も同じような場所にいるように思えるんです。

ガラスに文字を書く際に用いるのは「アマルガム」という手法。「世界ガラス美術全集6現代」では『石橋氏が、宙吹きや熔着・接着等、色々な技法を試みて、新しい表現を実践』と紹介されている。
  • 高橋忠三郎
  • 高橋忠三郎

途方もなく広い世界観がモチーフなのですね!

色々と考えてしまう性分なんです(笑)でも、原点はシンプルですよ。そう、僕が初めてであったガラスは、浮き球でした。海に浮かんでいるボールみたいなもの、見たことありませんか? 今はプラスチックになりましたが、昔はガラスだったんですね。

カネイリミュージアムショップが入っている建物「はっち」の天井に、私の作品が飾ってあります。いくつもの円盤が重なっているんですが、見上げるとちょうど海の中から水面の浮き球を眺めているように見えます。でも、じーっと見ていると、星空を眺めているようにも見えるんです。イメージがどんどん広がっていきます。

この宇宙にあるもの、美しいものが、イメージの中ではつながっています。浮き球をモチーフにする時、それは揺れる水面をたたえる海や、見上げる星空をもモチーフにしているのと同じことのように感じます。

透き通ったガラスの向こう側には、無数のイメージが広がっているんです。

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