山内将才(わにもっこ) | 木工

大鰐の山里を繊細に写しとる優美な木工作品群。
それは木の美しさであると同時に、木を育む自然の美しさでもあります。

山内さんと木の関わりについて教えてください。

うちには2つ山があって、親子三代で管理しています。先代、うちのオヤジが木工所を中心にした人が集まれる場所を作るということで、今の場所にいくつかの施設を作りました。喫茶店は「ひばのくに」という名前で、おふくろがやっています。

オヤジを継ぐつもりは無く東京の大学に行っていたが、地元に帰ってこようかと思っていた頃、オヤジとオヤジの仲間が「ジャパンぶなフェスティバル」というイベントをやったんです。

アルバイトで手伝って欲しいということになって、特に何を期待するでもなく参加したのが、今の私がこの仕事をする直接的なきっかけになりました。

  • 雪の中の喫茶店
  • 喫茶店の中
  • 薪ストーブと炎

そこでの感動が原動力だったんですね!

いいえ…確かに「なかなかやるじゃない」とは思ったんですが、ショックを受けたことを今でもありありと憶えています。青森のリンゴの木箱と、同じ重さのデンマークのデザイン家具が天秤にかけられている展示です。

もちろん両方木製で、同じ重さなのにも関わらず、かたや300円、かたや35000円の値札が付いていました。それはもう、ショックでした。リンゴの木箱は言わば青森の風土が生んだ民具のようなものだから、単純な比較は出来ないとは思うけれど、それでも「デザインで35000円の付加価値がつく」という事が、ショックだったんです。

帰ってきてからは、ひたすら作品を作り続けました。

  • わにもっこの作業場
  • 木で作った椅子
  • 木のおもちゃ
  • 木の器

そうして、木工を継がれたわけですね

…木工は淘汰されていくものではないか、と思うことがあります。この辺に住んでいる若い人たちが、興味を持っていないのが実情です。

うまく言えませんが、若いうちは民芸や工芸のようなものに興味を持てなくても、年をとって五感がへたってきた時、何かにすがりたい気持ちが出てくるような気がするんです。 スタイルやデザインで興味を持ってくれる若者もいます。しかし、そういうものでは片付けられない、元いた場所に回帰するような感覚が、齢を重ねた僕たちには訪れるものであるように感じます。

木工が淘汰されるかもしれないと本当に感じるからこそ、回帰できる何かを作品に込めていきたいと思うんですね。

  • 山内将才と木工の作業場
  • 作業する山内将才
  • わにもっこで使う木工の材料
  • 木工に使う機械

回帰できる何か?

この山里は、現代という時代にあっても、とても豊かです。

真っ白な雪の日、アカゲラの赤。満月に照らされた雪上。楓の黄色い花、カタクリの紫の花、鳥が蜜を吸いにくる。ヒメギクチョウとヤマセミが、川沿いを飛んでいる。これが、この山里の今という時代であり、時代性です。

有名家具のデザインも、時代性が無ければ生まれなかったと思うんです。私はこの山里に身を置いて、今という時代を生きて、1つ1つを勉強して吸収していきたいと思います。そして叶うなら、山里という時代性…その自然のデザインの美しさを、感じ取ってもらえる作品を作りたいと思います。

  • 動物の足跡がデザインされた木工のお皿
  • 木工のお皿3枚
  • 山内将才(わにもっこ)